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『ロリヰタ』(嶽本野ばら) [本・漫画]

ロリヰタ。

ロリヰタ。

  • 作者: 岳本 野ばら
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/02
  • メディア: 文庫
 
アマゾン・・・漢字間違ってまっせ。「岳本」じゃなくて「嶽本」です。
嶽本さん作品は本を読むより先に『下妻物語』を映画で観ました。
それから『シシリエンヌ』を読み、「隠微で耽美」な世界だなあとタメ息をつき。
ほかの作品も読んでみようと思っていたところで、この文庫を発見。
表題作の『ロリヰタ』は、一瞬「自伝?」と思わせるような感じで始まり、著者のロリータファッション哲学みたいなものが溢れているけれど、よくできた創作。
好みは分かれるでしょうが、「この人にしか書けないだろう」と思える世界を提示してくれる点で好ましいし、自分の得意分野(詳しい分野)を舞台にして、人生や人間に対する考え方を伝える手法は、わかりやすくて悪くないと思う。
私はロリータファッションに興味はないけど、ヨージ・ヤマモトやコムデギャルソンが好きなので、共感度がやや高いのかも。
ちょっと「ありえねーだろ」みたいな部分もありますが・・・私は好きだな。
もう一編の『ハタ』も、同じようにファッションを基盤にした恋愛短編なのだけど、こちらはちょっと「うーん・・・」だった。これも好みの問題なのだけど、若者恋愛モノで「どちらかの死」をキーワードというか、持ち出す?ことにウンザリしている。
「死」は誰にとっても大事件だから、それを使うことで人物を描きやすくなる心理描写や状況はあるんだけど・・・こういう使い方は、セカチューだけで充分。
とはいえ、最初の発表は、この作品の方がセカチューより先だったかも知れないし、それ以前にも「死」を出してくる小説はたくさんある。
だから、それを言ったらキリがないんだけど・・・使い方によるのかな。
「この手法には飽きました」な感じでした。
文庫解説は高橋源一郎さん。わかりやすい解説でした。
★★★★★★★☆☆☆ 7

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『秘密の花園』(三浦しをん) [本・漫画]

秘密の花園

秘密の花園

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/02
  • メディア: 文庫
名門カトリック(どうもフェリス女学院ぽい)の女子高に通う、3人の生徒を順番に主人公にした3編の小説集。
名門カトリックの、ではないけれど、女子高出身なので、「わかるわかる」と頷ける部分も多かった。クラスメイトへの、友情以上恋愛未満な気持ちとかね。
けれど、読みながら、どこかで彼女たちに向かって「若いからなあ」と思っている自分がいた。
三浦しをんさんは、どんな思いで書いたのだろう。「郷愁」は感じないから、思い出話風ではない。女子高生の気持ちに戻って(なって?)書いたのだろうか。
私には、そこまで「戻りきる」ことができなかった。だから、理解は出来るけれど、少し苛々した。「そんなことを考えてうだうだしていられるのは、高校生(自活しなくて良い状況にある)だからだよっ!」「そうやって大人をバカにしていられるのも今の内だよっ!」という風に。<いや、自分もそうだったんですが。
それを言っちゃあオシマイなのだが、だから、あまり面白くなかった。
どうしたって等身大では読めない・・・高校生、せめて大学生の時に読みたかったなあ。
★★★★★☆☆☆☆☆ 5点

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『実りを待つ季節』(光野桃) [本・漫画]

実りを待つ季節

実りを待つ季節

  • 作者: 光野 桃
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/04
  • メディア: 文庫
光野さんの文章は、凛々しく清々しい印象を受ける。
自分が娘だった時代を中心に、家族の思い出を綴ったエッセイなのだけど、自ら「生意気な娘だった」と書いている。
鋭い目つきの、精一杯突っ張って生意気そうな女の子の像が浮かんでくるような文章なのだけど、書いているのは大人になり母となってからの光野さん。
時間を経て、「過去の自分」をまっすぐに見つめられる視点が良いなあと思った。また、それと比較して、現在の自分や娘さんのことも書いていて、その違いも興味深い。
あっさりと読めるけれど、自分の娘時代や、現在について、辿ってきた道筋について、あれこれ思い巡らすことができた一冊。
★★★★★★☆☆☆☆ 6点

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『心ひだひだ』(室井滋) [本・漫画]

心ひだひだ

心ひだひだ

  • 作者: 室井 滋
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/12/15
  • メディア: 文庫
 
室井さんのエッセイは軽快で、視点が面白くて好きなんですが。
これは、エッセイと心理テストが一緒になった作品?で、彼女のエッセイというか、心理テストから想像した出来事の記載は面白いんだけど・・・心理テストの内容がつまらなかった。
女性向け雑誌によく載っているような心理テストで、ありきたりすぎる。
「あ、どっかで見た」ような内容の問題だし、回答の説明も「はあ、そうですかね」みたいな。
・・・買わなければ良かった。室井さんのエッセイだけの作品集にすれば良かった。
久しぶりの「買って損した」です。
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 1点

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『吉田自転車』(吉田戦車) [本・漫画]

吉田自転車

吉田自転車

  • 作者: 吉田戦車
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/03/15
  • メディア: 文庫
『吉田電車』を読んで、いてもたってもいられなくなり、即刻購入。
でも、自転車より電車の方が、文章もこなれていて、内容の面白さがバージョンアップしていたので、「逆に読むべきだった」と思いました。
両方読むなら、先に自転車をお薦めします。
それにしても、自転車に「ナイスバイク号」って名前をつけているあたり・・・モノに名前をつける癖のある私としては、激しく同意!!

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『骨は珊瑚、眼は真珠』(池澤夏樹) [本・漫画]

骨は珊瑚、眼は真珠

骨は珊瑚、眼は真珠

  • 作者: 池澤 夏樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1998/04
  • メディア: 文庫
 

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『吉田電車』(吉田戦車) [本・漫画]

吉田電車

吉田電車

  • 作者: 吉田 戦車
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/01/12
  • メディア: 文庫

吉田戦車さん。有名な『伝染るんです』はあまり好きじゃなかったのだけど。
『一生懸命機械』で私的に大ブレイク。

「こ、この感性は只者ではない!」 
涙がでるほど笑った漫画は、そうそうない。以来、気になる漫画家さんの一人。

とはいえ、これは漫画ではなく、Web現代に連載していたエッセイをまとめたものなのだが、もーう、くすぐられまくり。
毎回、どこかしらの電車に乗る旅道中をおもしろ可笑しく書いている。

たとえば、ユニクロのジャケットを着てサッカー場に向かう途中で。
同じ車内に、同じ年代のオヤジ2人が、自分と同じジャケットを着ているのを見て猛烈に恥ずかしくなるんだけど。

そこで、「惑星直列みたいだ」って。
そんな言葉が出てくるあたりがたまりません!
言葉の選び方というか、思いつく台詞というかが物凄く好みにあっている。
面白すぎて、あっという間に読めてしまったのが残念。

★★★★★★★★☆☆ 8点

この前に出された下記の本を、即効買いに行くつもり。

吉田自転車

吉田自転車

  • 作者: 吉田戦車
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/03/15
  • メディア: 文庫

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『友がみな我よりえらく見える日は』(上原隆) [本・漫画]

友がみな我よりえらく見える日は

友がみな我よりえらく見える日は

  • 作者: 上原 隆
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1999/12
  • メディア: 文庫
かなり前に、フリペで紹介されていて気になった一冊。
すっかり忘れていましたが、ブックオフで目にした途端に思い出した。
ノンフィクション作品。
出てくる人たちは、皆、流行り言葉で言うところの「負け組」に属するような人で、それぞれ傷を負っているのだけど。
誰も、一人も、その現状を嘆いてだけいるわけじゃなくて。
「こういった状況にある自分」をきちんと把握し、そのあり方を模索し、たくましく生きている、生きようとしている。苦しさや辛さがすけてみえても、投げやりな点や、いじけた感じはしない。だから、読んでいて苛々したり、うんざりすることはない。
周りにいる誰からよりも、一段低いところにいるんじゃないか、自分は惨めなんじゃないかと感じた時。
どうやって、凹みがちな気持ちから脱出するか。
ここに記された複数人の生き方から、考え方から、少し学べた気がする。
★★★★★★☆☆☆☆ 6点

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『帰れぬ人びと』(鷺沢萠) [本・漫画]

帰れぬ人びと

帰れぬ人びと

  • 作者: 鷺沢 萠
  • 出版社/メーカー: 文芸春秋
  • 発売日: 1992/10
  • メディア: 文庫
こちらはエッセイではなく、小説集。若い時代の。
荒削りな感じもするし、私小説ぽいというか、自分の経験した想いを骨子にして作っているような感じもする。
ちょっと、背伸びをしている、力が入りすぎている印象も受ける。
でも、それが嫌な方向にはいかない。
すごく好き、手元に置きたい、とまでは思わないのだけれど、気持ちよく読めた。
★★★★★☆☆☆☆☆ 5点

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『町へ出よ、キスをしよう』(鷺沢萠) [本・漫画]

町へ出よ、キスをしよう

町へ出よ、キスをしよう

  • 作者: 鷺沢 萠
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1993/05
  • メディア: 文庫

古い本なので、イメージがないのかな。古本屋で買いました。

鷺沢さんのエッセイ、好きなんだけど、この本には若い時の文章も多く含まれていて、時代を感じる、懐かしい内容もちらほら。
軽快さは当時から変わらないんだなあ、なんて思いながら読んだ。

最後の方に、本や映画の感想が書かれていて、鷺沢さんが、雑誌「生本」に掲載していた映画エッセイを愛読していた者としては、「おお、こんなところに萌芽が!」と思ったり。映画のことを書きながら人物評のようになったり、あっちこっちに寄ってしまう、偏愛に満ちた文章が好き。

インディジョーンズの4が作られているという話を聞いた時、最初に思ったのは「鷺沢さんなら何て書くだろう」だった。

惜しい人を亡くした・・・本当に。

★★★★★★☆☆☆☆ 6点


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