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『エドワード・サイード OUT OF PLACE』(DVD) [映画・DVD]

エドワード・サイード OUT OF PLACE

エドワード・サイード OUT OF PLACE

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2006/11/25
  • メディア: DVD

 

 

相方が購入したもの。とはいえ、私とて興味がないわけではないから、一緒に鑑賞。
相方と違い、私はこの人の本を読んでいない。パレスチナ出身で、アメリカ在住で、コロンビア大学で教鞭をとっており、チョムスキーやバレンボイムと交流があった知識人、ということぐらいしか知らない。

レーベルを見ると、↓以下、引用

「2003年9月、パレスチナ出身の世界的知識人であるエドワード・サイードが亡くなった。後半生を過ごしたニューヨークでもなく、生誕の地であるエルサレムでもないレバノンのブルンマーナに、2004年春、サイードの墓はつくられた。
彼の複雑な背景を物語るその墓所のエピソードから、映画は始まる。
荒れ狂う濁流のような歴史に呑まれたパレスチナの土地と人々の暮らし。周辺のアラブの国々で難民として暮らすパレスチナの人々。他方、ディアスポラとして長年迫害の歴史を生きてきたユダヤ人達。世界中からイスラエルに帰還してきたそのユダヤ人達が抱える、被害と加害の混在する深い矛盾。
エドワード・サイードの遺志と記憶をめぐる旅は、イスラエル・アラブ双方の知識人たちの証言を道標に、サイードが求め続けた和解と共生の地平を探る。 」

↑引用終わり 

日本人の監督が撮っているというのも不思議だけれど、パレスチナ問題に関して、日本人監督なら、ややフラットでいられるかも知れない。イスラエル側にもパレスチナ側にも、必要以上に入れ込まない、という意味において。

だから、映画も、サイードの足跡を追い、風景や住んだ家を映しながら、彼の著作から引用されたナレーションで淡々と綴られる。サイードは裕福な家の息子だったから、父親が8ミリか何かで映した、彼自身の子供時代のフィルムも混ぜ込まれている。

そして、あちらこちらへ動くカメラの前にいる、色々な立場の人々の証言や、サイード家との思い出話が語られる。ユダヤ人の言葉、パレスチナ人の言葉、エジプト人の言葉、レバノン人の言葉。
それぞれが思いのたけを語り、どれが違っているとかいう問題ではない。
よく、宗教的な対立といわれるが、非常にいい加減な説明だと思う。宗教、民族だけの問題ではない。簡単に説明してしまうのはわかりやすいが不誠実だ、と思わされる。

レバノン人である奥様や、アメリカ国籍の二人の子供たち、レバノン在住の実の妹や、コロンビア大学の同僚たちの貴重な証言(?)も収められている。サイードが常に、自分はパレスチナのために何ができるかを考え、責任を持って行動し、剣ではなくペンによって闘い続けたことがわかる。

撮影の途中で、カメラが見つかって「ダメダメ」と言われたり、こっそり撮影している様子も伺われる。
特典映像の解説で「あの場所には今はもう入れないんですよね」なんて場所があったり。
その地に住む人々にとって、争いはリアルで身近な問題なのだ。一方で、断続的な戦時下にあっても、人々の生活は連綿と続いていくのだなあということも知らされる。
たくましいな、人間て。

映画は結論を出していない。ただ、記録している。
そして、「これからこの問題をどう考え、どう行動すべきか」を問いかけている。

日本にいると見えにくい問題ではあるが、知ることは大切だと思う。
具体的に何かできるわけではなくても。

ただ、面白いかと問われると・・・私は面白かったけれど、それは切支丹であり、イスラエル旅行の経験もあり、パレスチナの子供を撮った写真展にも行ったりし、ある程度この問題に関する興味と知識があるからであって、万人向けとは思えないのだけれど。

短い期間だったが、だいぶ昔にイスラエル旅行をした。自分が実際に見た風景や、道や、教会を映像で見ると・・・とても懐かしい気がした。
経験というのは大きいなと思う。その場に行き、一瞬であっても、そこで生きている人とふれあうのはすごく良い経験。
私にとってパレスチナ問題は「遠い世界の出来事」ではない。
それはたぶん、「僕はアメリカ生まれなんだけど、やっと聖地に帰るんだ!」と興奮していた青年や、「やっと手に入れた故郷を守るために、兵役についているの」と話してくれた女の子や、どこまでも小銭を求めて絵葉書を売ろうと追ってきたアラブの少年との出会いがあったから。
そんな個人的な体験を、記憶の底から蘇らせてくれる作品でもあった。

相方が本も買ったので、彼が読み終えたら、借りるつもりでおります。

思いいれが激しいもので、評価その他は控えます。


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