『着る女』(筒井ともみ) [本・漫画]
- 作者: 筒井ともみ
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2007/03/22
- メディア: オンデマンド
筒井さんの本業は脚本家のようであるが、その文章をはじめて読んだのは、生本で連載していた『食べる女』だった。
とても読みやすく、するすると先へ進み、次の回が楽しみだったことを覚えている。
私が購入していた頃の、初期の生本には、魅力的な作家さんが多く連載していたが、鷺沢さんと並び、アンケートハガキに「今回気に入った連載」に書くことが多かった。
同じテイストで、「食」の場面からの短編小説集かと思ったら、これはエッセイ集だった。
ご本人の幼い頃の「着る」記憶を中心に、服に留まらず、ファッション全般について思うこと、思い出すことが綴られている。
幼い頃結んでもらったリボンのこと、後に脚本に生かすことになった、母がちびた口紅をつけるしぐさ。
活躍しはじめた頃の、川久保玲(コムデギャルソン)やヨージヤマモトの服に出会った時の感激。自分の髪をまかせられる一級の美容師さんを探しまわったこと、等々。
ファッションに対するこだわりと、ファッションが人生にもたらす影響についても考えることができる文章が並んでいて、とても楽しく、刺激を受けながら読めた。
筒井学説、じゃないけれど、「こういう靴下の男はたいてい・・・」みたいな、所どころに出てくる「考察」も楽しめた。
ちょっと気になったのは、元々いくつかの雑誌や小冊子に連載していた文章なので、同じ内容が何度も出てくること。そのまま収録したからだとは思うけれど、続けて読むと「そう何度も繰り返さなくても」と思ってしまう。
単行本で一気に読むよりも、電車通勤の合間にちょこちょこ読む方が向いているかも知れない。
★★★★★★★☆☆☆ 7
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